チタンの切削条件は厳しい

チタンは、鉄の半分ほどの重さにも関わらず、鋼と同等の強度を持つ優れた素材です。加えて、チタンは優れた耐食性も持ちます。

しかし、これらの特長がある反面、チタンの切削条件は厳しいものとなっています。代表的なチタンの特性は、熱伝導率の低さです。熱伝導率の低さは、素材全体に熱が伝わりにくくなることであるため、工具と切削部分に加工熱が溜まり、工具の摩耗が激しくなります。

また、熱伝導率の低さは発火のしやすさにも繋がります。チタンの切粉は発火しやすく、切削機械の故障や加工不良に繋がりかねません。加えて、発火した際に、安易に水をかけて消化しようとすると、チタンが水分子中にある水素と結合し、水素爆発を起こしかねません。

チタンは熱伝導率の低さの他にも、

・引張強度の強さによる、工具のチッピングや急速な摩耗

・ヤング率の低さによる、びびりの発生や精度不良

・科学的に活性であることによる、工具とチタンの焼付や工具の急速な摩耗

などの厳しい切削条件を持ちます。

チタンを切削する際は、技術力やノウハウ、チタンの加工実績が必然的に要求されます。

チタンの旋盤加工におけるポイント

以上の厳しい切削条件を持つチタンを加工する際は、抑えるべきポイントがいくつかあります。その中でも特に重要な3つのポイントを紹介します。

切粉の形状の調整

チタンの旋盤加工におけるポイントとして、切粉の形状の調整が第一に挙げられます。

一般的に切粉は薄ければ、切粉の工具への巻き付きを防ぎ、工具が破損を抑制します。しかし、チタンの場合は切粉の薄さは発火に繋がってしまいます。そのため、切粉を厚くし、発火を防ぐことがチタンの旋盤加工において重要なポイントとなります。

切削油の選定

次に、チタンの旋盤加工におけるポイントとしては切削油の選定が挙げられます。。チタンの旋盤加工の際は、摩擦面との接触圧力の増加により、切削油の油膜が薄くなってしまい、油膜破断を引き起こしかねません。油膜破断が起こると、工具とチタンの間に摩擦熱や焼付が発生しやすくなります。これを防ぐために、接触圧力による油膜破断を起こさない最適な極圧添加剤を使用し、摩擦熱や、工具への焼付を抑制することが重要となります。

専用工具の使用

前述の通り、チタンは熱伝導率の低さから工具に熱が溜まりやすいという性質を持っています。工具に熱が溜まると、工具への摩擦が大きくなり工具寿命の短命化に繋がります。また、科学的に活性であることも工具の摩擦を大きくする一因となり、工具寿命の短命化に拍車をかけます。そのためチタンの旋盤加工の際は、専用工具の使用が必須となります。

チタンの旋盤加工なら当社まで

今回はチタンの切削条件と旋盤加工におけるポイントについて説明しました。

チタンは、重量、強度、耐食性などで優れた特性を持ちますが、一方で熱伝導率の低さ、親和性の高さなどの加工における難点も持ち合わせています。チタンの旋盤加工を実現するためには、最適な設備や道具のみならず、技術力やノウハウなども必要とされます。

自動旋盤加工 コストダウンセンター.comを運営するフジタイトでは、チタンを始めとする様々な難削材の旋盤加工を得意としております。また、旋盤加工における多数のコストダウン実績もあり、材質変更や加工工程の低減などによるコストダウンなど、VA/VE提案も多く行なってきました。

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